赤字決算になると法人税がかかるのか、確定申告はどうすればいいのか疑問に感じる経営者は少なくありません。
利益が出ていない場合でも、税務上の義務や支払いが発生することがあり、正しい知識がないと対応を誤ってしまう恐れがあります。
今回は赤字決算の場合に法人税や確定申告は必要なのかについて解説します。
赤字決算の時の法人税
会社の決算が赤字の場合、課税所得がないため法人税は発生しません。
ただし、赤字であっても法人住民税の均等割が最低7万円はかかります。
また、資本金が1億円を超える企業の場合には、法人事業税の一部が課税されるケースもあります。
そのため、赤字=税金0とはならない点には注意が必要です。
自治体や企業規模によっても負担額が違うので事前にしっかりと確認しましょう。
赤字決算の時は確定申告が必要か?
赤字であっても法人税の確定申告義務は免除されません。
法人は、事業年度終了の日から2か月以内に申告書を提出する必要があります。
申告しない場合、赤字を翌期以降に繰り越す制度が利用できず、思わぬ税負担が生じる可能性があります。
また、青色申告の承認を取り消される恐れや、税務調査の対象となって信用を損なうリスクもあります。
そのため、赤字決算でも期限内に申告手続きを行うことが重要です。
赤字の確定申告をすることで活用できる制度
青色申告をしている法人は、赤字決算の確定申告を行うことにより、繰越欠損金制度を利用できます。
繰越欠損金制度とは、赤字を翌年度以降に繰り越して黒字と相殺することで、翌年度以降の納税額を抑えられる制度です。
繰越期間は最長10年と長く、継続的な節税効果が期待できます。
さらに、資本金1億円以下の中小企業であれば繰戻し還付制度も利用可能です。
繰戻し還付制度は、当期の赤字と前期の黒字を相殺し、前期に納めた法人税の一部を還付してもらえる制度です。
繰越欠損金が未来の黒字と相殺されるのに対し、繰戻し還付は過去の黒字と相殺されます。
まとめ
今回は赤字決算の場合に法人税や確定申告は必要なのかについて解説しました。
赤字決算では、法人税はかからないものの一定の税金や申告義務は残ります。
正しい申告と制度の活用が、次の年度の経営を助けることにもつながります。
制度を正しく使うためにも税理士への相談を検討してみてください。